コールセンターには日々お客さまから多くの電話が寄せられます。毎日起きていることは、電話が寄せられるだけではありません。

開口一番、
「出勤予定のオペレーターが来ていません。」
「シフトの穴を埋めなければ……。」
KPIの遵守のために、いつもフロアーは戦場のようです。

時々、クレーム対応もあり、ますます緊張感が高まります。何かよい解決方法は無いでしょうか。
人海戦術では、もう耐えられなくなってしまいます。毎日対応に追われている状況では、高いストレスによって離職していくメンバーも少なくありません。

「楽でなくてもよいから、楽しく仕事ができるコールセンターを望んじゃいけないのだろうか。」

「改善活動にも十分に取り組んできた。」

「まだ、いろいろな問題も残っているが、必ず解決して見せる。」

このように考えているコールセンターは極端な例ですが、実際にいくつかの問題解決に取り組まれているコールセンター管理者は少なくないと思います。

今回のコラムは、コールセンターとAIについてです。

コールセンターが抱える問題

【費用対効果を高めたい】

  • 同じお問い合わせが多い
  • 応対者による品質のばらつきが解消されない
  • 平均処理時間が縮まらない

【ポジティブな話が欲しい】

  • クレーム対象が決まっている

【離職と採用の負のスパイラルを止めたい】

  • 対策を打っても、問題が解決しない
  • お客さまからのプレッシャーでオペレーターが辞めていく
  • 欠員補充新人の知識やノウハウ蓄積に時間が掛かる
  • 優秀な人材がなかなか応募してくれない

【その他】

  • 改善すべき問題の共有が出来ない
  • 応対時に必要な資料にたどり着けず、お客さまを待たせてしまう
  • ベテランのノウハウが共有できない

これらの問題の中で、幾つ該当しましたか。一つも無ければ、たぶんモデルケースとなる素晴らしいコールセンターです。しかし、一つぐらいは該当するかな?という場合、もっと大切な問題があります。

応対のスタイルを変えないことには上述の問題はなくなりません。コールセンターにAIの導入を検討しているのなら、今がこれらの問題を根こそぎ解決できるチャンスです。

このチャンスを分岐点として、これらの問題がないコールセンター経営を推進していくのか、又は今のまま現状維持しながらコールセンター経営にもがいていくのかを選択する時です。

コールセンターに於けるAI(人工知能)とは?

近年、コールセンター業界においてもAI(Artificial Intelligence:人工知能)の利用が進んできています。今回は、コールセンターが抱える問題をどのようにAIが解決していくのかを解説します。最近、ネットで紹介されているAI(人工知能)には、チャットボットやFAQタイプの広告が頻繁にポップアップしてきます。

チャットボット(chatbot)とは、「チャット」とロボットの「ボット」を組み合わせた言葉で、AIを活用した「電子辞書プログラム」のことです。

次にFAQです。FAQ(Frequently Asked Questions)とは、「よく尋ねられる質問」や「よくある質問」を意味します。ツールとして自動化されているFAQもAIを活用した電子辞書プログラムと考えてよいでしょう。

これらは、関連キーワードをデータベースの中の独立した引き出しに格納して、検索するワードと回答の結びつきを定義します。この方法のメリットは、入力と回答を結び付け、他のものと混じらず独立している事です。そのため知りたいことを検索できる辞書のような仕組みを再現しているのです。

さらに、会話や対話を行うロボットは、電子辞書タイプの入力と出力を文字入力から音声入力に変更したシステムです。これらは、今までなかった発想から生み出されていて、優れた技術の結晶です。

多くのコールセンターが応対に採用している一問一答型の応対スタイルの場合、88%の利用者が要件を聞き出して貰えなかったと不満を訴えています。

もし、一問一答型の応対スタイルを維持するか、もしくは完成度を高めるために電子辞書タイプのAIを導入すれば、利用者の満足度を高める効果は見込めません。多くの利用者は、要件を聞いて欲しいのです。理由は、利用者の約4割はネットを使い自己解決できないから、待たされる事を承知でコールセンターに電話してきます。

多くのオペレーターが行っている一問一答型の応対スタイルは、ネットで検索して回答を見つけるアプローチをオペレーターという人に代行してもらっているだけです。この作業は、コールセンター利用者は既に実施済みであることを忘れてはなりません。

利用者は、待たされるコールセンターに電話しても、①「問題は解決しましたか?」と聞かれずに、②「ご質問は有りますか?」と聞かれます。この違いは、とても重要です。

①「問題が解決しましたか?」は、問題が解決していなければ、オペレーターも巻き込んでトラブルシューティングに参加させ、何が何でも問題の解決を目指します。

ところが②「ご質問は有りますか?」の場合、オペレーターは利用者の問い合わせに参加しません。利用者側の質問のネタ切れと共に電話を切ることが出来ます。

①の質問と②の質問は、どちらの応対時の質問が顧客に寄り添っている応対だと感じますか。当然②の場合は、要件を聞き出してくれなかったと利用者に不満が残ります。要件を聞き出してくれなかったと不満を訴えている利用者の割合は、88%です。

無視できない数字ではないでしょうか。そうです。もうこれ以上、一問一答型の応対スタイルにこだわっていては、顧客は知らないうちに離反していくはずです。

コールセンターだから、AIが効果的

ここからは、前述の①「問題は解決しましたか?」を実践できるAI人工知能について、解説していきます。

AI人工知能は、魔法のランプではないので、いきなりランプをこすったら魔法使いが出てきて、願いを叶えてくれたりはしません。

そのためにAI人工知能にコールセンターの応対で使う内容をデータベースに入れ込んであげる必要があります。多くの場合は、応対の様子を録音しているデータを聴き起こして、必要事項を拾い出してデータベースに登録しています。データベースに登録する必要事項は、ベテランオペレーターなどが属人的に知っている知識や経験なども含みますが、多くは業務マニュアルに記載されている事項などが対象となります。

ただし、業務マニュアルの全ページの情報をAI人工知能のデータとして登録しなければ動かないかと問われると、実は応対時に使われていない内容も業務マニュアルには記載されているため、全ページのデータを登録する必要はありません。

では、①の問題は解決しましたか?

という応対のスタイルに移行するためには、どのような事を目指せばよいのでしょうか。実は、もうあなたの中に答えが存在しています。

コールセンター業界の中で優秀な応対に対して表彰していたり、☆で格付けしたりしている団体が有りますよね。

表彰される優秀な応対というのは、顧客の質問に答える一問一答型応対でしょうか?

細かい審査基準は別途勉強するとして、自分が表彰式に参加して受け取った感じでは、顧客に対して①「問題は解決しましたか?」をきっかけに、一緒に参加して問題を探して、解決策を提案していくアプローチや姿勢が素晴らしいから、表彰されていると感じませんか?

そのアプローチや姿勢の応対の物語には、感動する応対も少なくありません。そしてその物語には、必ず文脈があります。

コールセンターのオペレーターが文脈を組み立てて、顧客の問題解決に参加して解決策を提案していけば、88%の利用者の不満も減っていきますし、合わせて満足度を高められます。

今、応対スタイルを変えるために必要なAI人工知能ツールは一問一答型だけではなく、文脈に対応しているAI人工知能ツールが求められています。

そして、コールセンターだからお問い合わせが多く、サンプルデータの収集と仮説検証に向いています。文脈対応型AI人工知能の場合、応対の開始から終話までの一本の幹となる文脈があれば、新人教育などの場合なら、十分練習に使えます。

この文脈とは、何を指しているか推測できますか??

そうです。多くのコールセンターで新人教育用に用意しているスクリプトを指しています。

実際の応対で、幹となる文脈(スクリプト)に聴き方、伝え方、考え方を盛り込んだ枝葉を追加して、充実させることで基本的な応対用の文脈(スクリプト)を用意できます。

まだまだ仕上がり度合いは荒いですが、コールセンターで活躍している中堅オペレーターやベテランオペレーターなら、使いながら修正していく事もできそうです。

実際は、応対中に修正などできませんから、要修正などのコメントを文脈(スクリプト)にポストイットを張り付けて、別途修正を掛けるぐらいなら対応できそうですね。

そうです。コールセンターには、毎日たくさんのお問い合わせが寄せられます。

さらに、オペレーターはいろいろな経験の持ち主が集まっています。

そのオペレーターが気づいたことをポストイットのように文脈(スクリプト)に張り付ければ、あっという間に、実際の応対で使える文脈(スクリプト)が出来上がります。

今までの応対スタイルにAIを合わせるのではなく、理想の応対スタイルに移行するためにAIを活用するべき

お客さまは「問題の解決の手助けになる提案」を求めています。

お客さまの期待に応えるためには、「要件を聞き出し問題解決の手助けを提案する」スクリプトタイプのAIが主流になります。

そして、現在応対の主流になっている一問一答型で応えられる質問と回答は、AIなどのツールが24時間無人で対応することに移行していくでしょう。しかし、今一問一答型で応対しているオペレーターの仕事がAIに奪われるわけではありません。

顧客の問題を解決できるオペレーターは、12%とごく少なく希少価値が高い存在です。(88%の利用者が要件を聞き出して貰えなかったため、要件を聞き出すオペレーターの算出方法は、100-88=12%)

スクリプト対応するAIの支援を借りながら、主戦場をシフトしていく事が求められています。スクリプト対応できるAIが無い時代では、お客さまの問題を一緒に解決する試みは、一つ間違えば地雷を踏みに行く行為として、禁止事項になっているセンターも少なくありませんでした。

しかし、時代は進みスクリプトを動的に操作して応対の文脈に沿った内容をサジェストしてくれるAIがあれば、お客さまの問題解決という領域に進出することは、禁止事項ではなくなるのではないでしょうか。

コーチングエンジⓇシステムは、スクリプトを動的に操作し、応対に必要な聴き方、伝え方、考え方を支援

「お客さまの問題の解決を支援してくれるAI人工知能って、存在するの?」このような疑問をお持ちのコールセンター管理者は多いと思います。

答えは「はい」です。弊社が開発しました。

クラウドに実装済みで、何時でもデモを見ていただく事が出来ます。今までご紹介してきたことは、多くの実証実験で現実を調べ、問題を明らかにして対策を考えてきた結果を述べてきました。開発してきたAI人工知能の概要を以下にご紹介いたします。

【AI機能】

スクリプト動的操作機能

  • 人力では煩雑だったスクリプトをAIに管理させます。

応対シナリオサジェスト機能

  • 聴き方、伝え方、考え方をスクリプトに盛り込んで要件を聞き出し、提案を支援します。

気づきメモ機能

  • 気づいた瞬間にスクリプトにメモを貼り付けられます。

リアルタイムモニター機能

  • 応対中リソースの好不調をモニター表示します。

履歴データ取り出し機能

  • 過去の応対を遡り検証するデータを出力できます。

【期待効果】

  • 正しく即答できるようになります。
  • 顧客満足度の向上を支援します。
  • 要件を聞き出し、提案が出来ます。
  • 効率/生産性の向上が期待できます。
  • 顧客が満足することで、応対中のストレスの軽減が期待できます。
  • 離職率改善や定着率向上などが期待できます。

【弊社の取り組み】

  • AI人工知能に実装するスクリプトを作成し更新する推進チームの立ち上げを支援します。
  • 会話運びモデル(スクリプト)作成を支援します。
  • スクリプトを動的に操作するAIを国内クラウドで提供します。
  • 会話運びモデル(スクリプト)の更新を支援します。
  • いつもの同じ質問やクレームなどの再発防止、未然防止対策を支援します。

などです。

どんなことでも、
お気軽にお問合せからご相談願います。
2段階認証方式を採用しているため、
手順は①メールアドレスを入力し送信、②ホームページから質問や相談を書き込むサイトのURLが送付されてきます。③受信したメール内のURLをクリックして、質問事項などをお問い合わせください。

コメント

  1. この記事へのコメントはありません。

  1. この記事へのトラックバックはありません。