経営課題って、いくつ抱えていますか?
どんなテンプレートを使って、経営課題を整理し分析するかで、リストアップされる内容もいろいろ変わってきます。
例えば
【3C分析】
カスタマー、コンペジター、カンパニーの3つの言葉の頭文字から3C分析と呼ばれています。
カスタマーは顧客、コンペジターは競合、カンパニーは自社です。
もしくは、
【5フォース分析】
自社が居る業界、顧客、調達先、新規参入、代替えとなるサービスや商品
の5つで、調査分析を進めます。
周りの調査分析と対策も必要になりますが、カンパニー・自社の調査分析も必要となります。
自社の中には製造物責任法で設置が義務付けられている『お客様窓口』、コールセンターがあると思います。
今回のコラムは、3C分析や5フォース分析に用意したいデータの収集元になるコールセンター内の課題と解決方法をご紹介いたします。
コールセンターが抱える経営課題一覧
コールセンターは常に多くの課題と隣り合わせです。コールセンターが抱えている課題は、立場の異なる3つの視点から以下のように分類することができます。
【利用者の視点】
- 電話が繋がりにくい
- 電話が繋がっても長く待たされる
- 要件を聞き出して貰えないから問題が未解決のままである(不満が溜まる)
【オペレーターの視点】
- 電話に出るのが怖い
- ストレスに耐える力が求められる
- 効率ばかりが評価されることが不満
- 嫌いなSV(管理者、上司)にはヘルプを頼まない
- 同じ質問ばかり受ける
- やりがいを感じない
- デビュー後は、必要な情報を吸収し整理する機会が少ない
- 利用者から不満(高いストレス) をぶつけられ離職してしまう
【経営者の視点】
- 現場から経営に必要な情報が取れない
- 日常的にトラブルが発生
- オペレーターが無言で離職する
- 人事評価が難しい
- オペレーターが勤務シフト通りに出勤してくれない
- KPI管理をしているけれど、その有効性について疑問がある
- オペレーターが正しく即答できない
- オペレーターが同じ失敗を繰り返す
- 優秀な人材が少ない
- オペレーターのやる気スイッチが分からない
- 人材育成に時間がかかる
- 費用対コストが良くない
これらの課題がある限り、利用者、オペレーターそして経営者いずれの立場にあっても応対の中で高い満足を得ることはないでしょう。
そして、それぞれの課題には相互関係があり、課題の本質を見抜いて抜本的な改革を行わない限り、課題が解決することはありません。
コールセンターの経営課題の多くは、見えている『現象』に過ぎない
ご紹介した数々の課題は、現実として立ち現れている(起こっている)“現象”に過ぎません。現象には発生原因があり、課題を解決するには発生原因を特定して、現象との因果関係を突き止めなければなりません。この因果関係の始点こそが「真の原因」であり、真の原因を特定することが課題解決に向けた効果的なアクションになります。
先ほどの立場ごとの不満を、経営資源(ひと、モノ、金、情報)の中から『モノ』を除いた『ひと、金、情報』を使い、更に一部のワードを使って整理すると、以下の図のようになります。
図 経営資源モデル
この図について、以下に解説します。
【コスト関連】
かかる経費は理解できるが、不要な経費はかけたくない。という心理が働いているようです。
【ひと関連】
コールセンターを運営する企業は、一見どんな質問にも正しく即答できる優秀な人材を求めているように見えていましたが、この図を作成している途中で今まで見えていなかったことが見えてきました。
それは企業やコールセンターが求めている優秀な人材とは『ストレスに強い人』ではないかと。この仮説が、間違っている事を希望しますが……
そろっているデータから浮かび上がってくる優秀な人材像は、打たれても、打たれても、へこたれることなくすぐに立ち上がる『ストレスに強い人』を捜し求めているように感じてなりません。
次に、
【情報関連】
経営に必要な情報を届けて欲しいものの、コールセンターは日常的にトラブルを起こす部門という認識になりそうで怖いです。
もう一つ、資料を作成しています。
この資料は、組織運営には3つの必要な要素があり、その要素の中から組織の硬直化を改善して、さらなる成長を目指そうという考え方に基づくものです。
図 組織の3要素
組織運営に必要な要素を、【共通目的】【コミュニケーション】【貢献意欲】の3つという考え方に基づいて作成した資料です。
この図の中の要素から読み取れることは、今コールセンターで行われている運営方針では、【貢献意欲】が湧かないという状況です。
【貢献意欲】は求められたからといって引き出せる気持ちではありません。
誘因≧貢献意欲
という関係式で表されるように、貢献意欲を高めるには、興味が持てる活動、自分でも参加できそうな活動、参加したら自分の身の安全の確保が保てる活動、活動しているうちに満足感が高まりそう……
というマズローの欲求5段階説の底辺から条件を満たす必要があります。
図 マズローの欲求5段階説
人は誰でも、身の危険を感じるところに長居をしたくありません。身の安全の確保が出来そうと理解できれば、オペレーターは多少面倒なことでも、メリットとデメリットを比較してメリットを取りに行くのではないでしょうか。
その要領で、コールセンター長やMG、SV、リーダーなどは、オペレーターの貢献意欲を掻き立てる『誘因』を提案し続ける事が求められています。
コールセンターの経営課題の根底にある「真の原因」を特定しよう
因果関係とは、原因とそれによって生じる結果との関係のことをいいます。
同様に、コールセンターの経営課題に対しても、因果関係を紐解いて考えることから解決へ向かうことができます。
先述した数々の経営課題はいずれも“現象”なので、“現象”を引き起こす原因を明らかにして、原因をなくすための取り組みが必要になります。
例えば、先ほどの『組織成立の3要素』の図の中から『貢献意欲関連』を注視すると、
- 成長機会が少なく、同じ失敗を繰り返し、不満をぶつけられ、日常的にトラブルが発生している
- 電話を介した応対のため評価が難しく、効率ばかり評価されるため、やりがいを感じない。
となり、『真の原因』は、成長の機会が少ない事です。
そのため、同じ失敗を繰り返して、日常的にトラブルを起こしてしまうため、オペレーターが安心安全な応対業務に取り組める環境になっていないことではないでしょうか。
この事例から浮かび上がる経営課題は、
- 成長の機会を提供し、同じ失敗を繰り返さない仕組みによる、オペレーターの身の安全確保に近づける事ではないでしょうか。
- 評価の基準は、効率と合わせて成長を自覚できる環境の整備
です。
図 組織の3要素
いかがでしょうか。
この取組みならやりがいを刺激して、【貢献意欲】を引き出せそうです。
コールセンターの経営課題から抜け出すキーワードは『満足』
コールセンター白書によると、88%のコールセンター利用者が、オペレーターが要件を聞き出してくれずに問題解決が出来なかったと不満を訴えています。
利用者は不満があるから、オペレーターを攻撃します。オペレーターは攻撃されるから強いストレスを感じます。そして、ストレスに対する我慢が出来なくなったオペレーターから黙って辞めていきます。
この因果関係の始点は、利用者に聞かれたことに回答するだけの一問一答型の応対です。
そもそもコールセンターの利用者は要件を聞いて欲しいので、オペレーターは、まず『どうしましたか?』と聞いて、その回答を基に会話運びを組み立てていけば、満足度が高まることが分かっています。
しかし、そのことがわかっていてもできない理由があります。
『どうしましたか?』と聞いて返ってきた回答を基に、新人は会話運びを組み立てることができないからです。
ベテランのオペレーターであれば、百戦錬磨の豊富な経験から、求められているゴールに誘う会話運びを組み立てて、コールセンター利用者の満足度を高めていく技能を身に着けています。しかしながら、この方法を選択できるのは一部の優れたオペレーターだけであって、決して汎用性の高い応対方法ではありません。
コールセンターの経営課題の解決をスクリプト(文脈)がサポート
先ほどの話しで触れた『成長の機会を提供し、同じ失敗を繰り返さない仕組み』の作り方に入ります。
オペレーターのスキルにバラつきがあっても、「要件を聞き出し問題解決の手助けを提案する」スクリプト(シナリオ)があれば、誰でも利用者の満足のいく応対が可能になります。
さらに、スクリプトは使う人の知識や振る舞いに従うため、履歴データを遡れば、得意不得意の確認が容易です。
しかし、今までのスクリプトは紙に書き起こしても、データ化しても、作成と更新などの維持管理が煩雑化する弱点がありました。
そのためにスクリプトは、変更などの更新が不要で定型化できる教育用として活用している状況にとどまっているようです。
活用出来たら便利なことを知っていても、作成と管理が煩雑になることから、実践に使うことをためらっていたのではないでしょうか。
スクリプトを使って、コールセンター利用者の安心安全の確保が進めば、組織成立の3要素の【貢献意欲】【共通目的】【コミュニケーション】の3つの課題が解決されます。
でも、スクリプトは応対の実践では、使い物にならないよね。
って、今反論され方もいらっしゃると思います。
そうです。
今までのテクノロジーでは、スクリプトを応対の実践で使うことは、ちょっと難しいと思います。
でも、新しいテクノロジーのAI人工知能にスクリプトを動的に操作させたら、応対の実践でも使えるようになるのではないでしょうか。
では一体、「お客さまの問題の解決を支援してくれるAI人工知能って、存在するの?」このような疑問をお持ちのコールセンター管理者は多いと思います。
答えは「はい」です。
弊社が開発した「コーチングエンジⓇシステム」がそのことを可能にします。
既にクラウドに実装済みで、いつでもデモを見ていただく事が出来ます。
今までご紹介してきたことは、多くの実証実験で現実を調べ、問題を明らかにして対策を考えてきた結果を述べてきました。
開発してきたAI人工知能の概要を以下にご紹介いたします。
【AI機能】
スクリプト動的操作機能
- 人力では煩雑だったスクリプトをAIに管理させます。
応対シナリオサジェスト機能
- 聴き方、伝え方、考え方をスクリプトに盛り込んで要件を聞き出し、提案を支援します。
気づきメモ機能
- 気づいた瞬間にスクリプトにメモを貼り付けられます。
リアルタイムモニター機能
- 応対中リソースの好不調をモニター表示します。
履歴データ取り出し機能
- 過去の応対を遡り検証するデータを出力できます。
【期待効果】
- 正しく即答できるようになります。
- 呼量の削減が出来ます。
- 応答率を改善できます。
- 顧客満足度の向上を支援します。
- 要件を聞き出し、提案が出来ます。
- 効率/生産性の向上が期待できます。
- 顧客が満足することで、応対中のストレスの軽減が期待できます。
- 離職率改善や定着率向上などが期待できます。
【弊社の取り組み】
- AI人工知能に実装するスクリプトを作成し更新する推進チームの立ち上げを支援します。
- 会話運びモデル(スクリプト)作成を支援します。
- スクリプトを動的に操作するAIを国内クラウドで提供します。
- 会話運びモデル(スクリプト)の更新を支援します。
- いつもの同じ質問やクレームなどの再発防止、未然防止対策を支援します。
コールセンターの経営課題に日々頭を悩ませている管理者の皆様は、お気軽にご相談下さい。
コメント
この記事へのトラックバックはありません。
この記事へのコメントはありません。